「Core i9-12900K」「Core i7-12700K」「Core i5-12600K」のざっくり評価【性能比較】

Intelの第12世代プロセッサ「Alder Lake」の「Core i9-12900K」「Core i7-12700K」「Core i5-12600K」のざっくり評価記事です。高効率コア採用による異種混合コア仕様や、ついに10nmとなった新CPUの実力を見ていきたいと思います。

注意

本記事の内容は記事執筆時点(2021年11月5日)のものとなります。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

掲載の価格は、主にAmazonや価格.comを参考にしたおおよその市場価格です。

記事掲載時のCore i9-12900Kの電力効率の値が誤っていました。お詫びして訂正いたします。

簡易比較表

簡易比較表です。現在主要な他の競合CPUも参考に並べています。

Core i9 Core i7 Core i5
12900K 12900KF 12700K 12700KF 12600K 12600KF
コア数 16(8P + 8E) 12(8P + 4E) 10(6P + 4E)
スレッド数 24(16P + 8E?) 20(16P + 4E?) 16(12P + 4E?)
動作
クロック
Pコア 3.2GHz 3.6GHz 3.7GHz
Eコア 2.4GHz 2.7GHz 2.8GHz
TB時最大 Pコア 5.1GHz 4.9GHz 4.9GHz
Eコア 3.9GHz 3.8GHz 3.6GHz
TB Max3.0時 5.2GHz 5.0GHz
キャッシュ
メモリ
L2 14MB 12MB 9.5MB
L3 30MB 25MB 20MB
対応メモリ(最大) DDR5-4800 / DDR4-3200
最大 128GB
GPU Intel UHD
Graphics 770
Intel UHD
Graphics 770
Intel UHD
Graphics 770
TDP PL1 125W
PL2 241W 190W 150W
対応ソケット LGA1700
対応チップセット Intel 600シリーズチップセット(Z690 等)

※価格は2021年11月5日時点での参考価格です。

簡易比較
CPU名 製造
プロセス
コア
スレッド
クロック
定格 / 最大
TDP iGPU L3
キャッシュ
参考価格
Core i9-12900K 10nm 16(8+8)
/24
3.2 / 5.2GHz
2.4 / 3.9GHz
125W UHD 770 30MB 約79,800円
Core i9-12900KF 10nm 16(8+8)
/24
3.2 / 5.2GHz
2.4 / 3.9GHz
125W 無し 30MB 約 76,800円
Ryzen 9 5950X 7nm 16/32 3.4 / 4.9GHz 105W 無し 64MB 約 104,800円
Core i7-12700K 10nm 12(8+4)
/20
3.6 / 4.9GHz
2.7 / 3.8GHz
125W UHD 770 25MB 約 58,000円
Core i7-12700KF 10nm 12(8+4)
/20
3.6 / 4.9GHz
2.7 / 3.8GHz
125W 無し 25MB 約 53,000円
Ryzen 9 5900X 7nm 12/24 3.7 / 4.8GHz 105W 無し 64MB 約 72,800円
Core i5-12600K 10nm 10(6+4)
/16
3.7 / 4.9GHz
2.8 / 3.6GHz
125W UHD 770 20MB 約 39,000円
Core i5-12600KF 10nm 10(6+4)
/16
3.7 / 4.9GHz
2.8 / 3.6GHz
125W 無し 20MB 約 37,000円
Core i9-11900K 14nm 8/16 3.5 / 5.3GHz 125W UHD 750 16MB 約 66,600円
Ryzen 7 5800X 7nm 8/16 3.8 / 4.7GHz 105W 無し 32MB 約 58,000円
Core i7-11700K 14nm 8/16 3.6 / 5.0GHz 125W UHD 750 16MB 約 46,000円
Ryzen 5 5600X 7nm 6/12 3.7 / 4.6GHz 65W 無し 32MB 約 41,800円
Core i5-11600K 14nm 6/12 3.9 / 4.9GHz 125W UHD 750 12MB 約 35,000円
Core i5-11400 14nm 6/12 2.6 / 4.4GHz 65W UHD 730 12MB 約 22,500円

前世代からの変更点まとめ
前世代からの変更について、主要なものをざっくりとまとめています。
  • 製造プロセスが14nmから10nmに
    ついに製造プロセスが14nmから10nmになりました。長らく続いた14nm世代がようやく終わりを迎えました。電力効率やマルチスレッド面での向上が期待されます。
  • 高効率コア(Eコア)が追加され、異種混合コア仕様に
    第12世代のCoreシリーズ(少なくとも末尾K)では、従来のような高性能コア(Pコア)だけでなく高効率コア(Eコア)が追加されています。スマホ用のCPU(SoC)では割と普通の仕様ですが、PC用のCPUでは珍しい仕様です。
  • DDR5メモリに対応
    第12世代ではDDR5メモリに対応しました。ただし、DDR5メモリは現状では大分高価な上、パフォーマンスもそこまで向上しないケースの方が多いようです。従来のDDR4メモリもまだ使えるので、無理して導入する必要はないかもしれません(参考:https://www.techspot.com/review/2351-intel-core-i9-12900k/)。
  • 対応チップセットは600番台に
    対応チップセットはIntel 600シリーズになります(例:Z690)。ソケット形状も変わりますし、前世代との互換性は無くなる点に、一応注意です。CPUクーラーの取り付けについても変更となるため、そちらも事前の確認が必要です(元々未対応の製品でも、大体は無償でアップグレードキットを受け取ることができるとは思います)。

処理性能

各処理性能をベンチマークスコアで見ていきます。使用された使用されたGPUは「GeForce RTX 3080」となっています。使用されたメモリは、今回焦点を当てている第12世代Core「Alder Lake」CPUは「DDR5-6000」で、その他は「DDR4-3600」となっています。

その他の細かい環境や設定等については、お手数ですが冒頭の参考リンク先の記事を参照してください。


シングルスレッド性能

シングルスレッド性能は、1コアでの処理性能を表します。シングルスレッド性能が高いと、軽い処理に掛かる時間が短くなる(サクサク動く)他、全コア稼働時にも当然影響がありますので、ほぼ全ての処理に対して有利に働きます。

今回は、Cinebench R23というベンチマークソフトで測定された数値で見ていきます。レンダリングのベンチマークテストです。

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i9-12900K
2030
Core i7-12700K
1939
Core i5-12600K
1921
Core i9-11900K
1675
Ryzen 9 5950X
1638
Ryzen 9 5900X
1623
Ryzen 7 5800X
1606
Core i7-11700KF
1600
Core i5-11600K
1562
Ryzen 5 5600X
1540
Core i5-11400F
1414
Core i9-10900K
1378
Core i7-10700K
1358
Core i5-10600K
1316
Core i5-10400F
1173

シングルスレッドは前世代から2割以上の大幅な向上

シングルスレッド性能は前世代から2割以上の向上が見られます。大幅な向上です。12900Kと11900Kの比較では約21.2%、12700Kと11700KFの比較では約21.2%、12600Kと11600Kの比較では約23%の向上です。想像を遥かに超える向上率で正直驚きました。

当然ながら、前世代だけでなくRyzen 5000シリーズも全モデルを軽々を上回っています。シングルスレッド性能で圧倒的優位に立ち、以前の一強だった頃のIntelを思い出します。


マルチスレッド性能

マルチスレッド性能は、CPUの全コア稼働時の処理性能を表します。マルチスレッド性能が高いと、動画のソフトウェアエンコード(CPUエンコード)やレンダリングなど、膨大な量の処理に掛かる時間が短くなる他、複数タスクでのパフォーマンスが向上するなどのメリットがあります。

今回は、Cinebench R23というベンチマークソフトで測定された数値で見ていきます。

Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i9-12900K
27780
Ryzen 9 5950X
25813
Core i7-12700K
22232
Ryzen 9 5900X
21789
Core i5-12600K
17699
Ryzen 7 5800X
15758
Core i9-10900K
14285
Core i9-11900K
13338
Core i7-11700KF
12911
Core i7-10700K
12138
Ryzen 5 5600X
11225
Core i5-11600K
10468
Core i5-10600K
9384
Core i5-10400F
8100
Core i5-11400F
7552

マルチスレッドは前世代から約1.7倍~2.1倍の驚異的な向上

第12世代で各種性能が大幅に向上したCoreシリーズですが、中でも優れているのはマルチスレッド性能です。前世代と比較すると、12900Kと11900Kの比較では約108.3%、12700Kと11700KFの比較では約72.2%、12600Kと11600Kの比較では約69.1%の向上です。性能の向上がめざましい近年においても、目を見張るほどの驚異的な向上率です。

Ryzenの対抗モデルとの比較では、「Ryzen 9 5950X」がかろうじて「Core i9-12900K」に匹敵している以外は圧倒しています。ここしばらくは「マルチスレッド性能重視ならRyzen」という状況だったと思いますが、遂にIntelがマルチスレッド性能の王者の座を奪いました

高効率コア追加による性能向上ももちろん大きいと思いますが、前述のシングルスレッド性能でも大きく上回っていますから、恐らく高効率コア無しでも大幅に上回るということは変わらないと思います。マルチスレッド性能では文句無しの勝利といえると思います。


ゲーミング性能

この項目でのゲーミング性能は、実際にゲームを起動した際のFPS数を見ていきます。

今回は10種類のゲームで測定したFPSの幾何平均を見ていきます。使用されたGPUは「GeForce RTX 3090」です。その他の設定はウルトラ(可能な限り最高の設定)です。測定に使用されたゲームタイトルやその他の環境は、お手数ですが記事冒頭のリンクからご確認お願いします。

10種類のゲームでの幾何平均fps(1080p)
CPU名称 スコア
Core i9-12900K
218.0
Core i7-12700K
214.0
Core i5-12600K
209.3
Ryzen 9 5900X
202.6
Ryzen 9 5950X
202.2
Ryzen 7 5800X
202.0
Core i9-11900K
196.5
Ryzen 5 5600X
195.5
Core i7-11700KF
193.4
Core i9-10900K
194.2
Core i5-11600K
188.8
Core i7-10700K
187.2
Core i5-10600K
179.2
Core i5-11400F
169.7
Core i5-10400F
169.1

10種類のゲームでの幾何平均fps(1440p)
CPU名称 スコア
Core i9-12900K
180.7
Core i7-12700K
178.1
Core i5-12600K
176.0
Ryzen 9 5900X
170.3
Ryzen 9 5950X
170.1
Ryzen 7 5800X
170.4
Core i9-11900K
169.8
Core i9-10900K
168.0
Ryzen 5 5600X
167.4
Core i7-11700KF
166.9
Core i5-11600K
162.8
Core i7-10700K
162.4
Core i5-10600K
156.8
Core i5-11400F
151.0
Core i5-10400F
150.2

10種類のゲームでの幾何平均fps(4K)
CPU名称 スコア
Core i9-12900K
115.4
Core i7-12700K
114.9
Core i5-12600K
114.9
Ryzen 9 5950X
113.5
Ryzen 9 5900X
113.4
Ryzen 7 5800X
113.1
Core i9-11900K
113.1
Core i9-10900K
113.1
Core i7-10700K
113.0
Ryzen 5 5600X
112.8
Core i7-11700KF
112.5
Core i5-11600K
112.1
Core i5-10600K
111.2
Core i5-11400F
110.2
Core i5-10400F
109.5

1080pでは前世代から約1割の大幅な向上

1080pゲーミングでは前世代から1割程度のfps上昇となっています。1割と聞くと大したことないと思うかもしれませんが、GPU主体のゲームで1割のfps向上は大きい向上です。100fps基準なら10fpsも変わります。

Core i5-12600KですらRyzen 5000シリーズの全モデルを上回る性能となっており、前述のシングルスレッド性能が影響を与えていそうな印象です。1080pゲーミングでは明らかに第12世代Coreが優位に立っています。

同世代内での比較では、価格順と同じCore i9-12900K、Core i7-12700K、Core i5-12600Kという順にゲーミング性能が高くなっており、大体2%ずつくらいの差です。価格差を考えると妥当な差だと思いますが、後述する電力面を考えると、Core i9はゲーミング時の効率(コスパと電力)は微妙な印象です。ここは従来と変わりませんね。

1440pでは前世代から7%前後の向上

1440pゲーミングでは前世代から7%前後のfps上昇が見られました。大きめの向上率といえると思いますが、1080pよりは差が小さくなっています。

とはいえ、未だに前世代やRyzen 5000シリーズには差を付け、優位に立っています。

4Kでは前世代から2%程度のわずかな向上

ちょっと気になるのが4K性能です。前世代と比較して向上してはいるものの、約2%程度とわずかな向上に留まっています。1080pでは10%あった差が大きく縮まってしまっています。1440pでも1080pより向上率が落ちていましたし、負荷が増えるごとに差が縮まっています。性能自体は前世代やRyzenに優位を保っていますし、低いという訳ではないですが、ちょっと気になります。

4Kではfps自体がかなり低くなるため、差が小さくなるのはある程度は当然とも言えると思いますが、前世代と前々世代の比較ではそこまで低下していないので、やはり妙に感じます。超高負荷時では高効率コアが活きにくいためなのか、それとも他の理由なのかはわからないですが、4K性能は低くないもののは若干苦手と言えるかもしれません。

その他

消費電力・電力効率

ざっくりとした消費電力と電力効率を見ていきます。「Cinebench」のマルチスレッドテストを実行した際のもので、全コア稼働時のものです。数値はシステム全体のものとなっていますが、CPUのみで行うテストで、その他の使用電力は少ないはずなので、実質CPUのみの数値として見ていきます。電力効率はCinebenchを行った際の総消費電力から見ていきます。総処理量が同じテストなので、使用された総電力が少ないほど電力効率が良いという感じです。

消費電力・電力効率、共に数値が低いほど良い点に注意してご覧ください。

消費電力(Cinebench Multi)
CPU名称 スコア
Core i5-10400F
125W
Ryzen 5 5600X
126W
Core i5-11400F
136W
Core i5-10600K
162W
Ryzen 7 5800X
175W
Ryzen 9 5950X
179W
Ryzen 9 5900X
183W
Core i5-12600K
189W
Core i7-10700K
207W
Core i7-12700K
221W
Core i5-11600K
235W
Core i9-10900K
246W
Core i7-11700KF
260W
Core i9-11900K
260W
Core i9-12900K
297W

電力効率(Cinebench Multi)
CPU名称 スコア
Ryzen 9 5950X
6.4kJ
Ryzen 9 5900X
7.8kJ
Ryzen 5 5600X
9.6kJ
Core i7-12700K
9.7kJ
Core i5-12600K
10.0kJ
Ryzen 7 5800X
10.0kJ
Core i9-12900K
10.2kJ
Core i5-10400F
12.7kJ
Core i9-10900K
13.9kJ
Core i7-10700K
14.2kJ
Core i5-10600K
14.5kJ
Core i5-11400F
15.3kJ
Core i7-11700KF
16.5kJ
Core i9-11900K
17.0kJ
Core i5-11600K
18.9kJ

Core i9 の消費電力はめちゃくちゃ多い

真っ先に目に入るのはやはり「Core i9-12900K」の消費電力の多さです。297Wとなっており、めちゃくちゃ多いです。「Core i9-11900K」の260Wよりも37W増加してしまっています。PL2の値が241Wとなっており、前世代の「Core i9-11900K」の251Wよりは減っているはずなので、電力面では壊滅的だった前世代よりはさすがに少し減るのかな?と思っていましたが、ここは正直期待外れでした。従来通り、CPUクーラーや電源ユニットにはかなり気を付ける必要があります。

とはいえ、処理性能の向上率が凄まじいので、電力効率は前世代のCore i9より良くなっており、Core i7やCore i5との差も小さくなっています。やはり素の消費電力がめちゃくちゃ多い上に電力効率でもCore i7以上のものがある訳でもないので、第一にはおすすめしにくいですが、前世代の「効率を考えるならCore i9は無し!」みたいな印象は減り、少し選び易くなっていると思います。

Core i5 と Core i7 は電力効率が大きく改善し、悪くない部類に

Core i5とCore i7は前世代から電力効率が大きく改善しています。前世代での「末尾Kモデルの電力効率は壊滅的」という認識を改める必要があります。

第12世代では末尾Kモデルでも「Ryzen 7 5800X」や「Ryzen 5 5600X」と同列の電力効率となっており、悪くありません。

前世代では効率を考えるなら末尾Kは選択肢から外れてしまう印象もありましたが、第12世代では「普通に消費電力が多いけど高性能なモデル」として扱うことが出来ると思います。無印モデルでは高効率コアが無いという噂もありますし、末尾Kは前世代よりも価値を上げそうな気がします。

とはいえ、消費電力自体は普通に多いので、電源ユニットやCPUクーラーにはしっかり気を付ける必要がある点は変わらないので注意が必要です。

Ryzen 9 の電力効率は未だに強い

Core i7とCore i5の電力効率は大きく改善しましたが、未だに「Ryzen 9 5900X」と「Ryzen 9 5950X」には届いていません。以前として他を少し引き離して優れた性能を見せつけています。

処理性能重視ならやはり第12世代Coreの方が強い印象ですが、マルチスレッド処理を多用するため、シングルスレッド性能やゲーミング性能よりも電力効率を重視したい場合にはRyzen 9はまだ一応選択肢に入ると思います。

まとめ

ざっくりと見てきましたが、評価をまとめています。メモリ速度など、処理性能に含まれるものは省いています。

Core i9-12900K

電力面ではまだ良いとは言えないですが、そのマルチスレッド性能の高さは魅力的なので、前世代のCore i9よりは選ぶ価値が十分あると思います。ただし、効率面を考えるならCore i7の方が良いと思います。

良い点
  • 16コアによる驚異的なマルチスレッド性能
  • 非常に優れたシングルスレッド性能
  • 非常に優れたゲーミング性能
  • 前世代の Core i9 より改善した電力効率
  • 優れたコスパ

悪い点
  • 非常に高価(7万円台後半)
  • 非常に多い消費電力(Ryzen 9よりも遥かに多い)
  • Core i7の方が大幅に効率的でゲーミング性能も大差ない


Core i7-12700K

第12世代のCore i7(末尾K)は各種処理性能は非常に高い上、電力効率も前世代から大きく改善し、選び易く優秀な高性能CPUになっていると思います。

マルチスレッド性能はCore i9には当然負けるものの、前世代のCore i9を圧倒する処理性能を持っておりハイエンド用途でも全然強いので、今までのCore i9のような感覚で選べると思います。

良い点
  • 非常に優れたシングルスレッド性能
  • 12コアによる非常に優れたマルチスレッド性能
  • 非常に優れたゲーミング性能(Core i9にもわずかな差)
  • 非常に優れたコスパ
  • 悪くない電力効率

悪い点
  • 高価(5万円台)
  • 消費電力がかなり多い


Core i5-12600K

第12世代のCore i5(末尾K)は、「Core i5」という肩書きからは想像できないほど高性能なCPUです。前世代のCore i9を上回る性能を持ちます。

高効率コアが4つ追加され、下位モデルのコア数の少なさ(マルチスレッド性能)という点が補強されたのが大きく、今までのCore i7のような感覚で選べる優秀なCPUだと思います。価格は3万円台後半となっており、Core i5にしては高いですが、対抗のRyzen 5 5600Xよりは少し安いです。それに、10コアという点を考えるとむしろ安くも感じます。

Core i5とは思えないマルチスレッド性能のおかげか、1440pや4KでもCore i7やCore i9との差は小さいため、ゲーミングコスパがめちゃくちゃ良いです。少なくとも現状は、ゲームのみに焦点を当てるならCore i7以上を検討する意味をあまり感じないレベルです。

マルチスレッド性能も重視するなら、やはりCore i7が非常に強いので悩みどころになると思いますが、予算重視機なら雑に採用しても後悔しないレベルのCPUだと思います。ただし、Core i5ながら末尾Kモデルは消費電力がかなり多いのでそこは注意が必要です。クーラーは空冷ならデュアルファンか14cmファン採用推奨です。

良い点
  • 非常に優れたシングルスレッド性能
  • 10コアによる非常に優れたマルチスレッド性能
    前世代のCore i9を上回ります。
  • 非常に優れたゲーミング性能
    1080p以外ではCore i7やCore i9との差は小さいです。
  • 非常に優れたゲーミングコスパ
  • 悪くない電力効率

悪い点
  • Core i5だけど消費電力はかなり多い
  • Core i7以上よりマルチスレッド性能で劣る

Core i9はまだ第一におすすめはできないかも

Core i9のマルチスレッド性能は本当に素晴らしいです。ただし、やはりまだ電力面では良いとは言えないレベルなので、第一にはおすすめはできないかもしれません。第12世代ではCore i7でも「Ryzen 9 5900X」クラスの十分ハイエンドと呼べる性能があり、電力効率もわずかに優れています。本体価格も大幅に安くなりますし、クーラーや電源も少し余裕ができます。

前世代のCore i9よりは選ぶ価値は生まれていると思いますが、「効率や予算度外視で性能を求める人以外にはおすすめできない」という点は変わらないです。

Core i5 と Core i7 がかなり強い

第12世代のCore i5とCore i7(どちらも末尾K)はコスパが非常に良いです。電力効率も改善した上で、各種処理性能も非常に高いので、かなり選び易いCPUになりました。当然ゲーミングCPUとしても優秀です。

無印モデルの登場はまた後日になりますが、そちらは高効率コアが省かれた構成になると噂されています。そうなるとマルチスレッド性能も大きく落ちることになると思います。そうなると、次世代のRyzenが思いのほかすぐ発売されない限りは、「Core i5-12600K(F)」と「Core i7-12700K(F)」がしばらく高性能CPUの安定択として残っていくのかなと思います。

電力効率重視なら Ryzen 9 はまだ一応選択肢に入る

純粋な処理性能では第12世代Coreに圧倒されてしまったRyzen 5000シリーズですが、Ryzen 9の電力効率は未だに優位に立っています。

特に「Ryzen 9 5950X」に匹敵する性能となった「Core i9-12900K」はまだ消費電力が非常に多く、電力効率も5000シリーズのRyzen 9には劣っているため、非常に高いマルチスレッド性能を求める上での電力効率ではRyzen 9の方がまだ大きく優位だったりします。一般消費者向けCPUでは重視する人は少なそうな要求ではあるものの、一応選択肢に入ることはあるかもしれません。

Ryzenを圧倒し、インテル一強時代が帰ってきたかも?

最後になりますが、総括的な感想です。

第12世代Coreシリーズ「Alder Lake」は、処理性能でRyzen 5000(Zen3)を圧倒しています。対抗モデルの価格は同程度なので、コスパでも圧倒的に有利です。

Ryzen 9には電力効率で負けるものの、一般消費者で性能やコスパよりも電力効率を重視する人は少ないと思いますし、恐らく後からAlder lakeでも省電力の無印モデルが追加されると思うので、それが出ると電力効率でも差が小さくなる気がします。

関連するパーツの高価さなどの兼ね合いはあるものの、少なくともCPU単体では第12世代Coreシリーズ一択レベルに近いのではないかと思います。性能向上は正直想像より遥かに上でしたが、RyzenもZen4には期待できると思いますし、むしろ今これくらいの差がある方が競争的には丁度良かったりもするのかなとも今では思います。AMDを大きく突き放すIntelを久しぶりに見た気がしますし、来年の市場がどうなるのか今から楽しみです。


といった感じで、記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。

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