インテルがデスクトップ向けの第12世代Coreプロセッサーシリーズ「Alder Lake」を正式発表しました。10nmプロセス採用のCPUとなっており、非常に長期化していた14nm政権がついに終了しました。
発売は11月4日となっており、具体的な性能は発売まで待つ事になりますが、カタログスペックと日本での価格が判明しているので、さくっとそこだけ先にまとめています。具体的な性能については、また発売後にレビューしたいと思います。
スペック表
まずはスペック表です。前世代までの目立った変更点は、やはり14nmから10nmプロセスへと微細化された点ですが、他にもPコア(高性能コア)とEコア(高効率コア)の異種混合コア仕様になった点やDDR5メモリ対応なった点など、多くの変更点があるCPUとなっています。
初発モデルは倍率ロックフリー(オーバークロック可)のK付きモデルのみとなっているようでした。スペック表は下記になります。
Core i9 | Core i7 | Core i5 | |||||
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12900K | 12900KF | 12700K | 12700KF | 12600K | 12600KF | ||
コア数 | 16(8P + 8E) | 12(8P + 4E) | 10(6P + 4E) | ||||
スレッド数 | 24(16P + 8E?) | 20(16P + 4E?) | 16(12P + 4E?) | ||||
動作 クロック | Pコア | 3.2GHz | 3.6GHz | 3.7GHz | |||
Eコア | 2.4GHz | 2.7GHz | 2.8GHz | ||||
TB時最大 | Pコア | 5.1GHz | 4.9GHz | 4.9GHz | |||
Eコア | 3.9GHz | 3.8GHz | 3.6GHz | ||||
TB Max3.0時 | 5.2GHz | 5.0GHz | – | ||||
キャッシュ メモリ | L2 | 14MB | 12MB | 9.5MB | |||
L3 | 30MB | 25MB | 20MB | ||||
対応メモリ(最大) | DDR5-4800 / DDR4-3200 最大 128GB | ||||||
GPU | Intel UHD Graphics 770 | ー | Intel UHD Graphics 770 | – | Intel UHD Graphics 770 | ー | |
TDP | PL1 | 125W | |||||
PL2 | 241W | 190W | 150W | ||||
対応ソケット | LGA1700 | ||||||
対応チップセット | Intel 600シリーズチップセット(Z690 等) |
前世代から高効率コアが追加され、コア数合計が増えた
コアとスレッド数合計は、Core i9:16コア 24スレッド , Core i7 :16コア 20スレッド , Core i5:10コア 16スレッド という形になっています。前世代からコア & スレッド数が増えています。ただし、高効率コア(Pコア)の数はそれぞれ Core i9:8コア , Core i7 :8コア , Core i5:6コア となっており、前世代と同じです。スレッド数の内訳は明かされていませんが、合計数から恐らく高効率コアのみハイパースレッディング有効という形だと思われるので、その仕様も同じです。コア数だけ見ると、前世代から高効率が追加されただけという形になっています。
そのため、前世代と比較するなら、10nmで新しい設計になったのに加え、高効率コア(Eコア)がプラスされた感じのCPUになります。やはり高負荷な処理で大きく効果を発揮するのは高性能コア(Pコア)だと思いますが、高効率コア(Eコア)がどういう形で貢献してくれるのかはやはり気になるところです。各レビューサイトやレビュアーの方々もその点がどうなるかを注視していると思います。
性能:世界最高のゲーミング性能
詳しい性能は発売してからということで深堀りはしませんが、一応インテルの発表内容で言っていたことを軽く触れておきます。
まずゲーミングパフォーマンスです。インテルは新しい第12世代プロセッサが世界最高の性能を持っている主張しています。31のゲームでのテストではCore i9-12900KはCore i9-11900Kよりも平均で13%高速であることを示した表を提示していました。表にはRyzen 9 5950Xもありましたが、大体のゲームで10%以上有利ということを示していました。本当なら確かに世界最高のゲームGPUの座を再度手にすることになりそうです。
次に生産性のパフォーマンスです。要するにマルチスレッドパフォーマンスのことになりますが、前世代からは大幅に向上することを主張してはいたものの、対抗のRyzenとの比較をしたものは出てこなかったため、少なくともマルチスレッドパフォーマンス効率ではRyzenを大きく打ち負かす可能性は低いことを示唆しているのではないかと噂されています。
消費電力:前世代よりは良くなったっぽい
消費電力は、今までのようなTDP(PL1)を表に出す形でなく、PL2の数値も同じく明記することでわかりやすい表記を意識していることが伺えます。
PL2(実質の最大消費電力の仕様値)を抜き出すと、Core i9:241W , Core i7 :190W , Core i5:150Wという感じになっています。前世代はK付きは一律で251Wだったので、全体的に省電力化が図られていることをアピールしています。
ただし、正直この数値は良いという訳ではありません。そもそも前世代(第11世代)が電力面で壊滅的に悪かったというだけです。Intelはあえて触れていないと思いますが、現在最新のRyzen 5000シリーズではハイエンドモデル(5950X , 5900X)でもTDP(PL2)は142Wしかないので、対抗相手よりは圧倒的に多いです。そのため、発売前から爆熱だとか消費電力爆食いみたいな感じで言われていたりもします。
DDR5メモリに対応
Alder Lake ではDDR5メモリに対応しました。DDR4と比較して、データレートやバンク数などのアクセス速度に関する面が2倍になっており、かなり高速化されている規格です。Alder LakeではDDR5-4800をサポートしており、DDR4で主流だったDDR4-3200と比較しても、ぱっと見だけで速度が1.5倍になっていることがわかります。また、駆動電圧もわずかに下がっています。
DDR5メモリは現時点ではまだ普及していないため、確かなことは言えませんが、少なくとも始めはDDR4よりは大幅に高価になることが想定されています。
その他
その他にも変わった点はたくさんありますが、憶測も多く含む内容となるため、まとめてさくっと触れていきたいと思います。
まず内蔵GPUです。初登場の「Intel UHD Graphics 770」というものになっています。詳細は明かされていないと思いますが、前世代(第11世代)の内蔵GPU「Intel UHD Graphics 750」がベース(ほぼ同じで)で、10nmプロセスに更新されたことによって名前が変わっただけという予想を見掛けました。同じ700番ということで前世代と同じXeと推測するのは妥当ですし、IntelはAMDと違い内蔵グラフィック強化モデルを販売しない傾向がありますから、770という上級モデルにも思える数字も大きな意味は無さそうな気はします。なので、この推測は多分当たっている気がします。そして、それを信じるなら内蔵グラフィックはさほど強化されていないとになると思います。
次にPCIe対応です。表には記載していませんが、Alder Lakeは実はPCIe 5.0に対応しています。扱える帯域幅が大幅に増えたことになりますが、現状PCIe 4.0ですらCPU以外では一般化しているとは言えず、対応製品も高価なのが現状です。その上、そもそもPCIe 4.0でも速度や帯域幅では現状困っていません。PCIe 5.0は現状オーバースペックすぎて、活かせる状況がありません(少なくとも一般消費者にとっては)。時代が追い付くのはしばらく先になりそうなので、今はあまり意味がない規格といっても過言ではないかもしれません。恩恵を受けれるのは大分先です。
Alder Lakeでは対応ソケットが「LGA1700」、対応チップセットは「Intel 600シリーズチップセット(例:Z690)」となり、前世代との互換性を失っています。
価格
次に価格を見ていきます。発売日は11月4日と記事執筆時点ではまだ少し先ですが、日本でも予約販売などが既に始まっており、価格を確認することができます。
Core i9 | Core i7 | Core i5 | |||||
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12900K | 12900KF | 12700K | 12700KF | 12600K | 12600KF | ||
参考価格 (希望小売価格) | 約79,800円 ($589) | 約 76800円 ($564) | 約 58,000円 ($409) | 約 53,000円 ($384) | 約 39,000円 ($289) | 約 37,000円 ($264) |
Ryzenの対抗モデルと同等か少し安い
意外だったのが価格です。思ったより安いです。Ryzenの対抗モデルと同等か少し安いくらいの価格設定になっています。
対応のマザーボードやDDR5メモリが発売当初は高額になることが予想されるため合計費用では不利になると思いますが、CPU自体は真向からRyzenに立ち向かっている形です。メモリの方はDDR4も一応使えますし、前世代より爆発的に高くなることは無さそうで良かったです。
何にせよ具体的な性能次第ですが、発表内容から見ても前世代よりは大幅に良くなっていることは確かだと思うので、インテルが良くて新しいPCが欲しい人には意外と手を出し易い形になっていると思います。
購入(予約)場所
最後に、発売前ですが既に予約が始まっているので、一部有名ショップで予約できるところを載せておきます。人気モデルは既に在庫切れとなっていたりするので、単体パーツが欲しい方は早めに予約した方が良いかもしれません。