【第11世代と第10世代】Core iシリーズの違いは?どれが良い?【ざっくり評価】

注意

第12世代のCoreプロセッサーが登場し、本記事は最新世代の情報ではなくなりました。第12世代版も記事を投稿したので、良ければ下記の記事をご覧ください。
【第12世代と第11世代】Core iシリーズの違いは?どれが良い?【ざっくり評価】

第11世代(Rocket lake)と第10世代(Comet Lake)の、デスクトップ用のCore iシリーズ(主流モデル)のまとめです。各CPUの特徴を凄くざっくりと載せています。また、「Core i9とCore i7」のような、各モデル毎の違いや性能については下記の記事の方が分かり易いかと思うので、良ければ参考リンクをご覧くださいませ。

【性能比較】Core「9 / 7 / 5 / 3」の違いを解説【2024年最新版】


注意

本記事の内容は、記事更新時点(2021年4月12日時点)のものとなります。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

第11世代での主な変更点

第11世代第10世代
コア数(最大)8コア10コア
対応メモリ(最大)DDR4-3200DDR4-2933
PCI ExpressPCIe 4.0PCIe 3.0
内蔵GPU(iGPU)UHD Graphics 750,730UHD Graphics 630


第10世代から第11世代での変更点まとめ
前世代からの変更について、主要なものをざっくりとまとめています。
  • Core i9が10コア→8コアになり、K付きでは新しいブースト機能搭載
    第11世代のCore i9は、コア数が前世代の10コアから8コアへと少なくなりました。この変更によって、Core i9はコア・スレッド数がCore i7と同じになってしまっています。そして、Core i7との差別化を図るためか、Core i9のK付きのモデルではAdaptive Boost Technologyという温度制限付きの自動オーバークロック機能のようなものが利用可能になっています。
  • 対応メモリがDDR4-3200に
    対応のメモリクロックが10世代ではDDR4-2933でしたが、第11世代ではDDR4-3200に対応しました。Core i7以外はネイティブ対応とは言えなかったりはするのですが、メモリクロック自体は向上しました。
  • PCI Express 4.0に対応
    第11世代でやっとPCIe 4.0に対応しました。前世代の3.0と比較して、帯域幅は2倍になっています。
  • 内蔵GPUが約1.5倍高速に
    内蔵GPUが前世代のUHD Graphics 630から、UHD Graphics 750 / 730になりました。UHD Graphicsという名を引き続き受け継いでいるものの、アーキテクチャが新しいXeに変更されているため、性能は大きく向上しています。Intelによると、前世代より最大1.5倍高速になっているそうです。
  • IPCが向上
    CPUにはIPCと呼ばれるクロックあたりの命令の処理数の指標があり、これがコアあたりの性能やゲーミング性能において重要だと言われています。これが、第11世代では約14%程度向上しているようです。
  • 上位モデルでは価格が上昇
    Core i9等の一部の上位モデルでは、海外でのメーカーの希望小売価格レベルで価格が少し上昇しています(国内初動価格:Core i9-10900K:約72,000円、Core i9-11900K:約78,000円)。前述のIPCなどはコストの増加も危惧される部分のようなので、その影響もあるかもしれません。
  • Core i3は追加無し
    第11世代では、Core i3モデルの追加がありませんでした(2021年4月時点)。前世代(10世代)のアーキテクチャのモデルが追加されるだけとなっています。

今回は細かい調整が多いので軽く補足説明です。興味のある方だけご覧ください。

Core i9は8コアになり、新しいブースト機能搭載(K付きのみ)

最上位モデルは従来と同じCore i9ですが、前世代の10コアから8コアへとコア数が減っています。その代わりなのか、Core i9のK付きのモデルのみAdaptive Boost Technology(ABT)という新しいブースト機能が付属します。

Adaptive Boost Technology(ABT)

Rocket Lakeを含むCPU全般では、さまざまなブーストテクノロジーが導入されています。Adaptive Boost Technology(ABT)もその一つです。

Adaptive Boost Technology(ABT)は、簡単にいうと必要に応じて作動してくれる自動オーバークロック機能のようなものです。4つ以上のコアがアクティブの場合に、全てのコアのターボ周波数を動的に調整するというものです。最大周波数は5.1GHzが定義されています。(ただし、どうやら制限されているのは温度なので、5.1GHz動作時にも温度的に余裕があるなら超えるっぽい?正直よくわからない)

普通のオーバークロックは保証の対象外となってしまうのに対し、ABTはIntelに定められた温度制限の仕様内に留められているため、保証の範囲内となります。ただし、マザーボードのBIOSの設定ではデフォルトでは基本無効になっているようなので、各自で有効にする必要があるかもしれません。

最新のRyzen 5000でも自動オーバークロックみたいな機能を使うことができますが、そちらは確か保証の対象外となっていたと思うので、その点では優位性があります。ただし、どちらも温度が制限内という条件付きで稼働するものなので、普通のオーバークロックほどの故障リスクはないと思います。

対応メモリがDDR4-3200に

対応メモリクロックが前世代のDDR4-2933からDDR4-3200へと向上しました。ただし、最適な状態でDDR-3200をサポートするのはCore i9のK付きのモデル(現時点だと11900Kと11900KF)のみです。該当モデルは「Gear 1」と呼ばれる設定でメモリとメモリコントローラーの周波数が(1:1)で動作しますが、Core i7やCore i5等の他のほとんどCPUでは、「Gear 2」と呼ばれる設定でDDR4-3200をサポートし、メモリがメモリコントローラーの2倍の周波数(2:1)で動作します。本来のDDR4-3200よりもレイテンシが長くなる可能性があります。設定でCore i5等でもGear 1でDDR4-3200以上の速度にすることはできますが、その場合にはオーバークロック扱いとなり保証の対象外となるため注意です。

また、Rocket Lakeは前世代で使われた400番台チップセット(Z490等)のマザーボードでも使用することができますが、その場合にはDDR4-2933動作となるため注意です。

PCI-Express 4.0に対応

Rocket Lakeでは待望のPCI-Express 4.0に対応し、帯域幅は前世代と比較して2倍になっています。

ただし、前世代で使われた400番台チップセット(Z490等)のマザーボードでの使用時には引き続きPCIe 3.0で動作するため注意してください。

内蔵GPUがXeグラフィックスに

内蔵GPUのアーキテクチャが前世代から変更されXeになっています。これはモバイル版の第11世代CPUのTiger Lake等と同じ設計のものです。EU数(実行ユニット数)がモバイル版の最大96EUから最大48EUへと削減されてていますが、モバイル版より多い電力と高い周波数によって性能は底上げされています。Intelは従来のUHD Graphics 630よりは最大1.5倍高速だと主張しています。

一覧【ざっくり説明付き】

第11世代および第10世代のCore iシリーズ(主流)のCPU一覧です。性能スコアはPassMarkのベンチマークスコアとなっています(2021年4月時点)。全CPUを網羅している訳ではありませんが、主要なものは出来る限り掲載しています。簡単な評価も添えて表にまとめました。


K:オーバークロック対応モデル。K無しのモデルよりクロックが高くて電力制限が緩く設定されているので、オーバークロックを利用しなくても無印より性能は高い。
F:iGPU(内蔵GPU/統合グラフィック)廃止モデル。その分価格が少し安くなっている。
T:省電力モデル(TDP35W)。ベースのCPUより省電力だが、性能は落ちる。価格はベースのCPUと同じのためコスパも低くなる。需要低め。
評価CPUPassMark
スコア
概要iGPU
Core i9-11900K
(8コア/16スレッド)
25600前世代よりコア数の減ったCore i9の最上位モデル。前世代からシングルスレッド性能が大幅に向上し、ゲーミングを含む各種性能も強化されています。ただし、消費電力はめちゃくちゃ多く、水冷(240mm以上)が必須レベルです。コア数は10コアから8コアに減りましたが、消費電力は減っていません(コアあたりの消費電力はむしろ増えました)。第11世代の中では各種性能はトップですが、マルチスレッド性能は前世代のCore i9(10コア)に少し負けています。
コア数・スレッド数が同じとなってしまったCore i7との差別化を図るためか、Adaptive Boost Technologyという自動オーバークロック機能のようなものが保証の範囲内で利用可能となっていますが、元からかなり高いクロックですし、結局のところ消費電力の増大と引き換えに最大性能を上げているだけなので、正直魅力的には思えないです。
また、価格も前世代より上がってしまったので、マルチスレッド性能コスパは前世代のCore i9の方が良いです。第11世代内でもCore i7との性能差がほぼ無い割には価格差が大きいので、コスパは微妙です。正直これを選ぶならCore i7-11700Kか前世代のCore i9をおすすめします。
UHD 750
Core i9-11900KF
(8コア/16スレッド)
25600Core i9-11900Kの内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。×
Core i7-11700K
(8コア/16スレッド)
25100第11世代のCore i7の最上位モデル。前世代からシングルスレッド性能が大幅に向上し、ゲーミングを含む各種性能も強化されています。消費電力は非常に多く、水冷(240mm以上)が必須レベルです。取り回し的にはCore i9とほぼ変わりません。
ただし、第11世代ではCore i9とCore i7のコア数・スレッド数が同じなので、価格の大幅に安いCore i7の方がコスパは有利です。
実はこちらも価格が前世代より若干上がっています(Core i9ほどではないけど)。安さでいえば、発売から日が経って大幅に安くなった前世代のCore i7の方が有利です。コア数・スレッド数も変わりません。ゲーミング性能が少し下がっても良いから安くしたいというなら、前世代の方が有利です。
UHD 750
Core i7-11700KF
(8コア/16スレッド)
25100Core i7-11700Kの内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。×
Core i9-11900
(8コア/16スレッド)
23800Core i9-11900Kよりもクロックが低く、電力制限も少し強めになっているモデルです。価格も大幅に安くなります。低消費電力モデルという風に見えますが、高負荷時にはかなりの消費電力となるので、最大限性能を発揮したいなら冷却性能の高いクーラーが必要となります。単体販売品では一応BOXクーラーが付属しますが、利用するのはおすすめしません。
11900Kより性能は落ちますが、8コア16スレッドという点は変わらないので、マルチスレッド性能が重要な処理では大きく変わらない性能を発揮します。
総合的に見て11900Kよりは評価は高めですが、これを選ぶなら、コア数が同じでマルチスレッド性能が高くて価格の安い「Core i7-11700K」を選んだ方が賢くも見えるので、相対的に見るとやっぱり微妙な第11世代のCore i9です。
UHD 750
Core i9-11900F
(8コア/16スレッド)
23800Core i9-11900の内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。×
Core i9-10900K
(10コア/20スレッド)
24000第10世代のCore i9の最上位モデル。10コア20スレッドで高いマルチスレッド性能を持ちますが、消費電力がめちゃくちゃ多くて電力効率は微妙です。安定運用は水冷クーラーがほぼ必須です。
第11世代の11900Kにシングルスレッド性能やゲーミング性能は負けるものの、コア数が多いためにマルチスレッド性能はわずかに上回っています。発売から日が経っているために価格も大幅に安くなっているため、マルチスレッド性能コスパは第11世代のCore i9よりは大幅に良いです。
消費電力や発熱がとんでもなく多いために高評価は付けにくいですが、価格とマルチスレッド性能(コア数)だけ見れば、今では割と有力なCPUです。
UHD 630
Core i9-10900KF
(10コア/20スレッド)
23800Core i9-10900Kの内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。×
Core i9-10850K
(10コア/20スレッド)
2300010900Kのクロックが僅かに低下し価格が安くなっているモデル。性能は10900Kとかなり近く、チップ自体もほぼ同一のものと思われる。消費電力や発熱も10900Kとほぼ同レベルで、単純に10900Kの性能はそのままに価格だけ安くなったモデルと捉えても問題なさそうなモデル。記事執筆時点(2021年4月)では5万円を切っている。UHD 630
Core i7-11700
(8コア/16スレッド)
21500Core i7-11700Kよりもクロックが低く、電力制限も少し強めになっているモデルです。価格も大幅に安くなります。低消費電力モデルという風に見えますが、実は2段階目の電力制限(TDPのPL2)は11700Kと変わらないっぽいので、高負荷時にはかなりの消費電力となります。最大限性能を発揮したいなら冷却性能の高いクーラーが必要となります。単体販売品では一応BOXクーラーが付属しますが、利用するのはおすすめしません。
内部の電力制限的に省電力モデルとは言い難いですが、その分冷却性能の高いクーラーを用意すれば11700Kとの性能差も大して無いのに安いので、コスパ的にはかなり強いです。あまり見ないかもしれませんが、第11世代では無印のCore i7に水冷を導入するのは全然アリです。
UHD 750
Core i7-11700F
(8コア/16スレッド)
21500Core i7-11700の内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。×
Core i9-10900
(10コア/20スレッド)
21400Core i9-10900Kより動作クロックが低く、電力制限も少し強めになっているモデルです。価格も少し安くなっています。K付きより性能が低いとはいえ、10コア20スレッドの恩恵は受けることはできるため、マルチスレッド性能が重要な処理では優れた性能を発揮します。
ただし、高負荷時の消費電力はめちゃくちゃ多いので、最大限性能を発揮させたいなら冷却性能の高いクーラーが必要となる点は注意。
UHD 630
Core i9-10900F
(10コア/20スレッド)
21400Core i9-10900の内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。×
Core i7-10700K
(8コア/16スレッド)
197008コア16スレッドの第10世代のCore i7の最上位モデル。消費電力が非常に多いため、クーラーには十分に気を付ける必要があるため注意が必要です。発売当初より大きく値下がりしているため、従来よりも少し高くなった第11世代のCore i7よりも大幅に安い。シングルスレッド性能やゲーミング性能はやや劣るものの、コア数とスレッド数が同じの為、マルチスレッド性能は大差はないです。マルチスレッド性能コスパ重視なら未だに悪くない選択肢です。UHD 630
Core i7-10700KF
(8コア/16スレッド)
19700Core i7-10700Kの内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。×
Core i5-11600K
(6コア/12スレッド)
19600第11世代のCore i5の最上位モデル。6コアCPUとしては非常に優れた性能を持ちますが、高負荷時の消費電力は前世代のCore i9にも匹敵するレベルになるので、ミドルレンジCPUとしては扱ってはいけない代物です。ただし、価格はCore i7よりも安いこともあり、マルチスレッド性能コスパは悪くないです。
とはいえ電力効率が悪いため、これを買うならもう少し費用を足してCore i7(K無し)にした方が総合的には良いように見えるし、安くしたいならCore i5の下位モデルの方が良いと思うので、あえて選ぶ必要性は無さそうな印象。
UHD 750
Core i5-11600KF
(6コア/12スレッド)
19600Core i5-11600Kの内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。×
Core i5-11500
(6コア/12スレッド)
179001個下のCore i5-11400のクロックがわずかに高い版。2万円台中盤~後半という安価による優れたコスパが魅力の6コアCPU。
性能はCore i5-11400とわずかしか変わらないため、より安いCore i5-11400の方がコスパは基本良いですが、内蔵GPUの性能がこちらの方が少し高いため、内蔵GPUを利用する前提ならこのCore i5-11500の方が良いです。
UHD 750
Core i5-11400
(6コア/12スレッド)
17600第11世代のCore i5モデルの下位モデル。2万円台前半~中盤という安価さによる非常に優れたコスパが魅力的。純粋なコスパでは全CPU中でもトップクラスだと思う。クロックが低い上に電力制限もCore i7以上よりもきつくされているため、性能はガクッと落ちるのは事実ですが、「とにかく高いレベルを」という訳でなければ、大体の処理はこなせるくらいには高性能です。
ただし、地味に内蔵GPUがUHD 730となっていて、他モデルのUHD 750よりも少し実行ユニット数が減っています。内蔵GPUを利用したい場合には、一つ上の「Core i5-11500」の方がわずかながらコスパは上になると思います。
UHD 730
Core i5-11400F
(6コア/12スレッド)
17600Core i5-11400の内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。
ただでさえ安いCore i5-11400が更に安くなるので、ゲーミングコスパ特化機なら非常に強い選択肢です。
×
Core i7-10700
(8コア/16スレッド)
18000Core i7-10700Kより動作クロックが低く、電力制限も少し強めになっているモデルです。価格も少し安くなっています。発売当初から大きく値下がりしており(2021年4月時点で3万円台中盤)、8コアCPUとしては安価です。処理性能自体は第11世代やK付きには劣るものの、8コア16スレッドによる高いマルチスレッド性能を備える点は変わらず、電力効率も優れるため、総合評価は未だに高いです。UHD 630
Core i7-10700F
(8コア/16スレッド)
18000Core i7-10700の内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。8コア16スレッドのCPUとしてはかなり安価(2021年4月時点で約33,500円)。×
Core i5-10600K
(6コア/12スレッド)
15150第10世代のCore i5の最上位モデル。Core i5ですが、高負荷時の消費電力は非常に多いため注意が必要です。
元々評価は高くなったCPUなので、第11世代が登場した今ではもうあえて選ぶ必要は無いに等しいCPU。
UHD 630
Core i5-10400
(6コア/12スレッド)
131006コア12スレッドの第10世代のCore i5の下位モデル。Core i5-11400とマルチスレッド性能は大差なく、2万円を切る非常に安価で手に入るため、ゲーミング性能やシングルスレッド性能を強く重視しない安さ特化なら選択肢に入ると思います。UHD 630
Core i5-10400F
(6コア/12スレッド)
13100Core i5-10400の内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。発売当初より物凄く安くなっているので、安さ特化のゲーミングPCなら強い選択肢。×
Core i3-10105
(4コア/8スレッド)
9000第11世代のCore i3が追加されない代わりに追加された、第10世代のCore i3。Core i3-10100のクロックがわずかに上がっている。性能は控えめだけど、価格は1万円ちょっとと非常に安価。
ゲーミング用や高負荷な処理を求めるには不安が残る性能ですが、オフィス作業やWeb閲覧等のライトな用途では十分な処理能力はあるため、ライトな用途前提ならこの安さは魅力です。
とはいえ、Core i5の下位モデルも安価な部類ですし、性能がグッと上がるため、将来的に重い処理もする可能性も見据えるとCore i5の方が安心感や無難感が強い。
UHD 630
Core i3-10105F
(4コア/8スレッド)
9000Core i3-10105の内蔵GPUが無効化されたもの。その分少し安くなっている。
Core i5以上のゲームPCでも有力なCPUなら内蔵GPU無し版の需要も高いですが、Core i3では内蔵GPUを利用したい人が多いと思うので、需要は怪しい気がする。ただし凄く安い。
×
Core i3-10100
(4コア/8スレッド)
86004コア8スレッドの第10世代のCore i3の下位モデル。10105よりわずかにクロックが低い以外は基本同じ。UHD 630


省電力モデル(末尾T)

末尾Tの省電力モデルは、下記に別枠でまとめています。TDPが一律で35Wと低い(消費電力や発熱が少ない)メリットはあるものの、知識のある人なら、無印モデルで電力やクロックを制限することで似たような運用をすることも可能です。それを考慮すると、TモデルはベースのCPUより性能が落ちるにも関わらず価格はほぼ変わいとも捉えることもできるため、需要は低めです。単体の販売は流通量が少なく、主にメーカー販売の小型PCなどで採用されます。

CPUPassMark
スコア
概要iGPU
Core i9-11900T?Core i9-11900の省電力版。UHD 750
Core i7-11700T?Core i7-11700の省電力版。
Core i5-10400T?Core i5-11400の省電力版。UHD 730
Core i9-10900T17100Core i9-10900の省電力版UHD 630
Core i7-10700T13200Core i7-10700の省電力版。
Core i5-10400T10100Core i5-10400の省電力版。
Core i3-10100T?Core i3-10100の省電力版。

モデル別ざっくり比較

Core i9

Core i9(第11世代)
マルチスレッド性能
(4.5)
シングルスレッド性能
(5.0)
ゲーミング性能
(5.0)
消費電力・発熱
(1.0)
価格
(1.0)

Core i9(第10世代)
マルチスレッド性能
(5.0)
シングルスレッド性能
(4.0)
ゲーミング性能
(4.5)
消費電力・発熱
(1.5)
価格
(2.0)

最高性能モデルのCore i9です。各種性能で他モデルより高い性能を発揮し、特に高いマルチスレッド性能とゲーミング性能が魅力的です。

ただし、どちらの世代も消費電力はめちゃくちゃ多いので注意が必要です。K付では水冷が推奨というか必須に近いです。無印でも最大限性能を発揮したいなら水冷でもやり過ぎではないくらい高負荷時には消費電力が多いです。

シングスレッドとゲーミング性能は第11世代の方が上ですが、マルチスレッド性能・電力関連・価格は少し前世代の10コアのCore i9の方が有利です。同モデルのCPUは基本的に新しい方が全体的に高性能なことが多いですが、第11世代と第10世代のCore i9は少し違う感じなので注意が必要です。

個人的には、第11世代のCore i9を選ぶくらいなら、第11世代のCore i7にするか第10世代のCore i9をおすすめしたいです。

Core i7

Core i7(第11世代)
マルチスレッド性能
(4.5)
シングルスレッド性能
(4.5)
ゲーミング性能
(5.0)
消費電力・発熱
(1.5)
価格
(2.0)

Core i7(第10世代)
マルチスレッド性能
(4.0)
シングルスレッド性能
(3.5)
ゲーミング性能
(4.0)
消費電力・発熱
(2.0)
価格
(2.5)

高性能モデルのCore i7です。Core i9より下位ではありますが、シングルスレッド性能やゲーミング性能は価格差ほど変わらないので、実用性とコスパを考えるとCore i7の方がやや有利にも見えます。常に高性能CPUとして人気なモデルです。

第11世代のCore i9はコア数がCore i7と同じになったので、相対的に地位を上げました。元々高性能CPUでは安定択だったCore i7ですが、第11世代ではより有力な選択となりそうです。

ただし、どちらの世代も消費電力はかなり多いので注意が必要です。K付では水冷推奨です。無印でも最大限性能を発揮したいなら冷却性能の高いクーラーが必要です。

第11世代の方がシングルスレッドとゲーミング性能は大幅に高いですが、マルチスレッド性能は大差はありません。第10世代の価格が大幅に安くなっているので、安さとマルチスレッド性能コスパを特に重視する場合には未だに選択肢としては十分強いです。

Core i5

Core i5(第11世代)
マルチスレッド性能
(3.5)
シングルスレッド性能
(4.0)
ゲーミング性能
(4.5)
消費電力・発熱
(2.5)
価格
(3.5)

Core i5(第10世代)
マルチスレッド性能
(3.0)
シングルスレッド性能
(3.0)
ゲーミング性能
(3.5)
消費電力・発熱
(3.0)
価格
(3.5)

中性能モデルのCore i5です。中性能帯(ミドルレンジ)といっても、出来ないことは無いくらいには性能は高く、今では十分に高性能と言えるCPUです。

第11世代の方がシングルスレッド性能やゲーミング性能が高くなっているため、在庫処分価格でよほど安くなっていない限りは第11世代の方がおすすめです。

Core i7以上よりは消費電力が若干抑えられていますが、高負荷時にはかなりの消費電力を伴うので、性能を十分に発揮させたいならやはり冷却性能の高いクーラーが必要です。また、K付きはCore i5と言っていいのかってレベルの消費電力&発熱なので注意です。

Corei3

Core i3は第11世代モデルがありません(2021年4月時点)。

Core i3(第10世代)
マルチスレッド性能
(2.0)
シングルスレッド性能
(3.0)
ゲーミング性能
(2.5)
消費電力・発熱
(4.0)
価格
(4.5)

Core i3はCoreシリーズの中では低性能なモデルです。非常に安価なのが魅力です。第11世代の追加がなく、第10世代のみです(2021年4月時点)。

実際には低性能というほど性能が低いわけではなく、軽作業なら十分な性能を持っています。ただし、重い処理をやるにはやはり少し不安が残るのも事実なので、過信は禁物です。ライトユーザー向きのCPUです。

消費電力も他モデルと比べると少なくて扱い易いですが、将来性を考慮すると、少し予算をプラスしてCore i5にした方が無難に見えるのがCore i3です。第11世代では追加ないこともあり、ゲーミング性能ではかなり劣りますし、出来ればCore i5以上をおすすめしたいです。

各仕様や性能

性能や電力関連についてです。少し細かいベンチマークの数値などを見ていきます。


コア数・スレッド数

第11世代と第10世代のコア・スレッド数は、Core i9以外は共通です(また、Core i3は第11世代では追加がありませんでした)。ざっくり表にまとめています。

シリーズ世代コアスレッド概要
Core i911816第11世代でコア数が8に減りました。対抗のRyzen 9(12コア)どころか、前世代のCore i9よりもコア数が少ないです。
シングルスレッド性能は向上しましたが、マルチスレッド性能はオーバークロックやブースト機能無しでは前世代にすら劣ります。消費電力が減っていればまだ救いはありましたが、消費電力も10コアの前世代並み(むしろ若干増えた)です。
101020
Core i711816どちらも8コア16スレッドです。第11世代ではCore i9と同じコア数・スレッド数になったので、相対的に差が小さくなりました。
10816
Core i511612どちらも6コア12スレッドです。第11世代ではCore i9とCore i7の元値(メーカーの希望小売価格)が実は前世代より少し値上がりしましたが、Core i5だけは据え置き価格だったので、コスパが良いです。
10612
Core i311第11世代のCore i3は追加がありませんでした。第10世代のモデルが追加されただけです。追加されたモデルは非常に安価なので、安さという点では魅力ですが、各種性能は他モデルより大幅に劣ります。
1048


処理性能

各処理性能をベンチマークスコアで見ていきます。設定や環境等については、少し上の参考リンク先の記事を参照してください。


シングルスレッド性能

シングルスレッド性能は、1コアでの処理性能を表します。シングルスレッド性能が高いと、軽い処理に掛かる時間が短くなる(サクサク動く)他、全コア稼働時にも当然影響がありますので、ほぼ全ての処理に対して有利に働きます。

今回は、Cinebench R23というベンチマークソフトで測定された数値で見ていきます。レンダリングのベンチマークテストです。

Cinebench R23 Single
CPU名称スコア
Core i9-11900K ABT Off
1676
Core i9-11900K ABT On
1663
Core i5-11600K
1561
Core i5-11400F
1400
Core i9-10900K
1371
Core i7-10700K
1337
Core i5-10600K
1307
Core i3-10100
1176
Core i5 10400F
1165

シングルスレッド性能は第11世代で大幅な向上(約2割)

シングルスレッド性能は前世代から大幅に向上しました。約2割程度の向上です。Core i5の下位モデルである「Core i5-11400F」ですら、前世代のCore i9を上回っています。


マルチスレッド性能

マルチスレッド性能は、CPUの全コア稼働時の処理性能を表します。マルチスレッド性能が高いと、動画のソフトウェアエンコード(CPUエンコード)やレンダリングなど、膨大な量の処理に掛かる時間が短くなる他、複数タスクでのパフォーマンスが向上するなどのメリットがあります。

今回は、Cinebench R23というベンチマークソフトで測定された数値で見ていきます。

Cinebench R23 Multi
CPU名称スコア
Core i9-11900K ABT On
16188
Core i9-10900K
14319
Core i9-11900K ABT Off
13531
Core i7-10700K
12101
Core i5-11600K
10593
Core i5-10600K
9369
Core i5-10400F
8058
Core i5-11400F
7763
Core i3-10100
5678

Core i9はやや後退、その他はわずかな向上

まず、第11世代でコア数の減ってしまったCore i9は、10コアの前世代のCore i9よりもマルチスレッド性能は劣ります。シングルスレッド性能の向上のおかげかその差は小さいものの、追い付くまでには至っていません。Adaptive Boost Technologyをオンにすると大きく追い抜きますが、ただでさえ多い消費電力を更に増やした結果なので、優位性があるかというと…無くはないけど、ちょっと微妙だと思います。

Core i9 以外のモデルはコア数・スレッド数が同じだったので、シングルスレッド性能が向上した分マルチスレッド性能にも良い影響があるはずです。ただし、見た感じ、シングルスレッド性能の向上率の2割には基本届かず、大きくても1割ちょっとくらいの向上です。モデルによってはほぼ同じものもありました。

マルチスレッド性能コスパのみを考えるなら、価格の変わらなかったCore i5以外は前世代(第10世代)の方が有利かもしれません。


ゲーミング性能

この項目でのゲーミング性能は、実際にゲームを起動した際の平均FPS数を見ていきます。

今回は6種類のゲームで測定した平均FPSの数値を見ていきます。使用されたGPUは「GeForce RTX 3090」です。2021年4月11日時点では非常に高性能なハイエンドGPUです。その他の設定はウルトラ(可能な限り最高の設定)です。測定に使用されたゲームタイトルやその他の環境は、お手数ですが少し上のリンクからご確認お願いします。

6種類のゲームでの平均FPS(1080p)
CPU名称スコア
Core i9-11900K ABT On
169
Core i9-11900K ABT Off
166
Core i9-10900K
156
Core i5-11600K
154
Core i5 10600K
138

6種類のゲームでの平均FPS(1440p)
CPU名称スコア
Core i9-11900K ABT On
159
Core i9-11900K ABT Off
156
Core i9-10900K
149
Core i5-11600K
148
Core i5 10600K
135

前世代から5%~10%程度の上昇

ゲーミング性能は5%~10%程度の向上が見られます。マルチスレッド性能では前世代のCore i9に負けていた11900Kがトップなので、IPCやシングルスレッド性能の向上が効いているのだと思われます。

Core i9が非常に優れた性能を発揮しているものの、価格は上昇していますし、マルチスレッド性能も向上しなかったので、コスパ的には良くなっているとは言い難いです。対して、価格の変わらなかったCore i5はゲーミングコスパは良くなりました。

正直Core i9はゲーミングコスパ的にもおすすめはできないので、安価でコスパに優れるCore i5か、性能重視でもCore i7がお得な選択ということになると思います。


消費電力とワットパフォーマンス

TDP

CPUの仕様には「TDP」という大まかな消費電力の目安となる指標があります。これが第10世代の末尾Kモデル(オーバークロック可能な高性能モデル)では従来より高い125Wとなりました。

TDPの違い
第9世代第10世代
K:95WK:125W
無印:65W無印:65W
T:35WT:35W

第9世代までは95Wでした。「TDP」というのは明確な基準的なものはない、割とざっくりとしたものなので、少しの増加では大体変わりません。それを一気に30Wも上げなければいけなくなった点にも無理している部分見えてしまっています。

消費電力

高負荷時の消費電力を比較しています。ベンチマークソフトでレンダリング処理を行った際の消費電力を見ていきます。少ないほど良い数値になります。

消費電力(CineBench Multi-Thereaded)
CPU名称
消費電力(W)
Core i3-10100
108
Core i5-10400F
125
Core i5-11400F
130
Core i5-10600K
162
Core i7-10700K
207
Core i5-11600K
235
Core i9-10900K
246
Core i9-11900K
260

第11世代の方がやや消費電力が増加しているのが見て取れるかと思います。

Core i9は前世代よりコア数が減ったのにも関わらず、消費電力は少し上昇しているのが気になるのと、他のK付きのモデルも物凄く消費電力が多く、最大限性能を発揮させたいなら非常に冷却性能の高いクーラーが必要となる点は要注意です。

ワットパフォーマンス

高負荷時のワットパフォーマンスを比較しています。マルチスレッド処理時です。ベンチマークソフトで同一のレンダリングを行った際に要した電力量で比較しています。少ないほど良い数値となります。ただし、電力効率が悪くても処理性能の高いCPUの方が処理に掛かる時間が短いため、優位性が低いとは言い切れない点には注意です。

使用消費電力(CineBench Multi-Thereaded)
CPU名称
使用消費電力(kj)
Core i5-10400F
12.7
Core i9-10900K
13.9
Core i5-11400F
14.2
Core i7-10700K
14.2
Core i5-10600K
14.5
Core i3-10100
15.5
Core i9-11900K
17.0
Core i5-11600K
18.9

シングルスレッドやゲーミングでの処理では第11世代の方がやや良くなるとは思いますが、マルチスレッドでの電力効率は前世代(第10世代)の方が少し良いです。

また、価格は発売から日が経った前世代の方が安いですから、電力面を重視するなら第10世代の方がやや有利という印象です。


おすすめCPU

第11,10世代のCore iシリーズの中で、特におすすめのCPUを紹介しています。掲載の価格は、2021年4月12日時点のものとなっています。

Core i5-11400(F)

CPU名称
Core i5-11400(F)
PassMarkスコア
約17,600(ミドルクラス上位)
動作クロック2.6GHz-4.4GHz
コア/スレッド6/12
TDP65W
価格11400:約25,000円
11400F:約21,000円
※2021年4月12日時点
購入ページAmazonF

コスパ特化の6コアCPU
11世代のCore i5の下位モデルです。前世代からマルチスレッド性能はあまり向上しませんでしたが、シングルスレッド性能とゲーミング性能は大きく向上しています。元値も前世代と同じなので、特にゲーミングコスパが非常に良いCPUに仕上がっています。
グラフィックボードを搭載する前提の個人なら、内蔵GPU無効化モデルの「Core i5-11400F」の方が安いのでおすすめです。


Core i7-10700(F)

CPU名称
Core i7-10700(F)
PassMarkスコア
約18,100(ミドルクラス上位)
動作クロック2.9GHz-4.8GHz
コア/スレッド8/16
TDP65W
価格10700:約34,000円
10700F:約31,000円
※2021年4月12日時点
購入ページ
AmazonF

ざっくり解説
第10世代Core i7の下位モデルです。第11世代の方がシングルスレッド性能とゲーミング性能が高いですが、マルチスレッド性能は大差無かったので、発売から日が経った前世代のCore i7の安さは魅力的です。マルチスレッド性能コスパは第11世代と比べても良い部類です。
グラフィックボードを搭載する前提の個人なら、内蔵GPU無効化モデルの「Core i7-10700F」の方が安いのでおすすめです。



Core i7-11700(F)



CPU名称
Core i7-11700(F)
PassMarkスコア
約21,500(ハイクラス)
動作クロック2.5GHz-4.9GHz
コア/スレッド8/16
TDP65W
価格11700:約42,000円
11700F:約40,000円
※2021年4月12日時点
購入ページAmazonF

ざっくり解説
第11世代のCore i7の下位モデル。前世代よりもシングルスレッドとゲーミング性能が大幅に向上しています。Core i7-11700Kの方が性能は高いですが、こちらの方が価格は安いし、少しだけ扱い易いです。
グラフィックボードを搭載する前提の個人なら、内蔵GPU無効化モデルの「Core i7-11700F」の方が安いのでおすすめです。




Core i7-11700K(F)



CPU名称
Core i7-11700(F)
PassMarkスコア
約 25,200(ハイエンド)
動作クロック3.6GHz-5.0GHz
コア/スレッド8/16
TDP125W
価格11700:約50,000円
11700F:約47,000円
※2021年4月12日時点
購入ページAmazonF

ざっくり解説
第11世代のCore i7の上位モデル。前世代よりもシングルスレッドとゲーミング性能が大幅に向上しています。第11世代ではCore i9とCore i7のコア数が同じなので、性能重視でもコスパを考えるならCore i7の上位モデルの方をおすすめしたいです。
グラフィックボードを搭載する前提の個人なら、内蔵GPU無効化モデルの「Core i7-11700KF」の方が安いのでおすすめです。



記事はここまでになります。ご覧いただきありがとうございました。

4 COMMENTS

迅速な返信ありがとうございます。

大変参考になりました。corei7 11700を組み込んだモデルを買おうと思います。

サイトの運営頑張ってください。
応援してます。

返信する

いつも拝見させていただいております。

今回初めてbtoのゲーミングpcを買おうと思っています。価格は全く同じなんですが、cpuがcorei7 11700とryzen7 3700xのモデルがあり迷っています。管理者様ならどちらをおすすめしますか。
グラボはrtx 3070で用途としてはゲームと配信を予定しています。

返信する
とねりん:管理人

ありがとうございます。

その二つで同額なら、Core i7-11700をおすすめします。
3700Xは旧世代のCPUということもあり、特にゲーミング性能とシングルスレッド性能はCore i7-11700の方が大きく高性能です。
マルチスレッド性能等も大差ないと思うので、Core i7-11700の方がコスパが良いです。

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